
【不動産コンサルコラム】
◇2025年1・2月号『相続で揉めやすい”勘違い”とは』NEW
2025の営業がスタートし、例年と同じように一気に繁忙期の様相になりました。
毎日問い合わせの電話と申込の打ち合わせの連絡で、スタッフは電話の対応に追われています。
空室の原状回復工事もピッチを上げて対応しています。
傾向としては、やはり海外からの留学生や、在留ビザでの就労者が目立っています。
これは日本の労働人口が減り、高齢者社会での若い世代が激減している中では、
日本の生き残りをかけた国の政策の1つです。
時代の流れには柔軟に溶け込み、理解を示し自分の価値観を変えていく事が、生き残りの必須条件です。
経営者は、特に色濃く外部の変化を受け入れる考え方が要求され鍛えられますので、
会社のかじ取りの上でも、政策の変化 海外の変化 経済の変化 は敏感に吸収しています。
今年になって初めてのコンサルの研修があり、1日講習を受けてきました。
一番は、生前贈与の過去7年前までの持ち戻しの対応についてでしたが、
結局の所、相続対策は早ければ早いほどいいと言う事と、
数字に明確に出る節税になる効果は、短い時間ではなかなかでないと言う事です。
講師の先生は、都内の資産家を抱えるコンサル暦40年以上の人ですが、手がけた手法を聞いていても
「相続対策と、不動産の活用と、事業の承継は切り離せないものであり、
どれか1つにメスを入れ、対策や効果を出そうとした時、別の2つにも影響が出るため、
トータルでバランスを取っていく配慮が必要な事である。
そしてそれは、人の気持ちの受け入れの準備にも時間をかけないと、
気持ちがついて来ず、悪影響にも成りかねない」
と言った話もありました。
テレビでも1月から相続探偵というドラマと、唐沢寿明のプライベートバンカーというドラマがスタートしました。
テレビドラマは、時代のニーズをいち早くテーマにするトレンドを題材にしています。
それくらい今、相続やそれに絡む家族の問題が社会現象化しています。
裁判件数とその訴えの内容の統計からも、財産分与の案件が急増しています。
講師がコンサルの会場でアンケートを取った際、7割の人がうちは相続で揉めないと、回答したそうです。
この勘違いが、何もせず裁判を誘発する原因になっています。
揉めないと答えた人は『揉める程の財産はないから』と
回答した人が殆どだったそうですが、よくあるパターンとしては、
『ご主人の財産は持ち家1件だけ』
これが一番やっかいで、相続人が奥様だけ又は子供1人だけなら、遺産分割もスムーズにいくのでしょうが、
『持ち家1件で子供2人』『長男は母親と同居』『弟だけが外で別な家があり家族がいる』
このケースでは、『お兄さんは母親をこれからも面倒みていくし、家はそこしかない』と、
当然家の相続は自分がするものだと思っています。
家の土地建物の金額を数字にして、数千万を全部一人で相続するという考えはないでしょう。
しかし弟は、当然自分も財産を貰う権利があると思っています。
お父様が生前中はこんな話は誰もしないものです。
むしろ触れないで、勝手に双方が思い込んでいる訳です。
出来るならばお父様が自分の考えを口にして、子供達に理解を求めておくのが一番いいのですが、
日本の男性は、お金の話をしないのが美徳みたいな価値観があり、対策という概念がない方が圧倒数です。
いよいよ相続が発生し遺言書がなかった場合
この2人の主張は真っ向からぶつかり、
その先には、だったら裁判で決着をつけようとなる訳で、
こういう分割する事が出来ない不動産1つだけのケースが揉めるパターンに発展しやすいのです。
財産の大小ではない事に着目下さい。
裁判所の判断は決まっています。
民法通りの分割で結審する事が殆どなので、
【お母さんに50%】【息子2人に残りの金額の50%ずつ】
となります。
しかし不動産しかない、どうするか?自宅を売却してその売却代金で清算しないと、
ということになります。
結果、住む家は無くなってしまうという、悲惨な結末となる訳です。
事実、こんなケースが年間沢山ある事を知って頂きたい。
そしてだからこそ財産の金額でなく、身近な話であり生きている今こそ、
資産を持っている貴方が、家族を本当に守るために遺言書を書き、
遺留分を計算に入れた上で、皆が納得する財産分けをしてほしいと思います。
そして仲の良い兄弟と言えども、生活の基盤が別々になり、
守るものが出来れば自ずと価値観も変わり、金銭事情も変わるのが当たり前で、
ずっと子供のままの兄弟ではないという事を理解した上で、今出来る事を着手して頂きたいと思います。
