~ 契約知識 ~
不動産の賃貸借契約は難しい 怖いと言った声を耳にします。日常生活の中に馴染みの無い特別な機会だからと思います。
そんな不安も事前の情報収集や予備知識で案外簡単に理解が出来安心して契約に臨めるものです。
事業用賃貸借にフォーカスしてケーススタディしてみました。
■物件概要の見方
物件の資料には構成が決まっており、建築物に関する情報、契約形態・期間や更新に関する条件、
契約金や賃料に関する条件、物件の広さや間取りや設備に関する条件等が記載されています
■建築物に関して
建物が木造なのか、鉄骨なのか、建築して何年経過しているのか、水道・ガス・電気は通っているのか
耐震の規制にひっかかっていないか等の告知事項が記載してあります
ガスや水道が引かれてなかった事を後から知っても書いてあるのに知らなかったとは済まず自己負担で
高額な工事費用がかからないよう事前のチェックは大切です。
また、築年数によっては耐震の基準を満たしておらず高額な先行投資をしても大地震で建物が崩壊して
しまうような事にならないよう掛けていい投資額の目安も考えておかなければなりません。
■契約形態に関して
これは普通賃貸借契約と事業用定期借家契約があり大きく違いがあります。普通賃貸借契約は家賃の滞納
や倒産等の事情でも無い限り何年でも営業を継続する事が出来る契約です。
これが定期借家契約になると更新が無い為、借主が希望しても貸主が希望しない場合は期限までに撤退を
余儀なくされてしまう契約になってしまいます。売上げが思ったように上がらないような場合も貸主側から
の告知で期限を切られてしまえば滞納をしていなくても最終期限までに退去しなければなりません。
逆に借主側で途中退去を申し入れれば中途解約の損害金が発生します。
商業施設ではよくある契約形態で館全体の集客力を上げる為に常に旬な業態を入れたがる為です。
更新も同じように自動更新なのか更新手続きがあり費用が発生するのか等契約によって様々です。
■契約金 賃料に関して
契約時には家賃だけでなく敷金・礼金・保証金・共益費・テナント管理費・火災保険代・ゴミ処理代・鍵交
換代・警備保障利用代・看板代等様々な費用が発生します。
これは物件の紹介図面に記載してありますが、いったいいくらかかるのか明細書を出して貰わないとなかなか
契約金の把握が難しいものです。少なくともこんなかかるのですか と慌てないように余裕を持った資金計画
が必要であり、物件の内見をしても借りる資金の準備が整っていないのであれば徒労に終わってしまいます。
■募集区画 店内設備に関して
現地を見た時はエアコンもトイレも流しもあったので初期投資が少なく済みそうだと契約し鍵を貰い店内に
入ってみたら中はコンクリートで囲まれたがらんどう状態。実は物件の概要書面にはスケルトン渡しと明記
してあったのに案内の状況を鵜呑みにしてしまい大変な初期費用のかかる物件を借りてしまい、
資金がショートしてしまうなんて事もあるものです。事前の確認作業はかかせません。
特に店舗の場合引渡し条件で勘違いやトラブルが起き易く、
・貸主の所有物だと思ってエアコンを使っていたら故障してしまい修理を依頼したら
実は旧借主が残していったもので貸主には修繕の義務は無く自分で交換するはめになる。
・現状のままですと言われ、特に傷みも無いようだったので使用を開始したら排水が油
で詰まっていて高額な洗浄費用がかかってしまった。
・居抜きだと言う事でお金を支払ったら半年も持たず冷蔵庫や製氷機等が次々壊れ結局
自分で費用を払って買い換えるはめになった。
等、契約時に把握しておかなければならない事が多々あり、案内をした営業担当者も直接貸主を知らず、
何の事前確認もしないまま契約だけ早くさせてしまおうと責任転嫁をする姿勢の者もいるものです。
事前の確認事項はしっかりチェックするなり担当者への質問の回答から明確さや信頼出来るかどうかを見極める
慎重さは必要です。全て最後は自己責任になるのが不動産の契約です。
「宜しくお願いします。」は何をお願いされたのか営業マンはわかっていない場合も多いものです。
ベテランになってくると多岐に亘る知識を豊富に教えてくれたり借りる側の目になって店内の細かい部分も
一緒にチェックしてくれるものです。
心配であれば担当者を変えて貰うくらいの姿勢で構いませんし安心した取引をしてこその仲介手数料です。
何もやっていない所かトラブルを発生させても手数料だけは物件を紹介したのだからと請求してくるやからは多々あります。